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『十字路』(じゅうじろ)は、1928年(昭和3年)製作・公開、衣笠貞之助監督による日本の長篇劇映画、サイレント映画、時代劇によるアヴァンギャルド映画であり、日本映画で初めてヨーロッパへ輸出された作品である。 == 略歴・概要 == 衣笠貞之助がマキノ・プロダクションから独立して設立した衣笠映画連盟の最後の作品である〔衣笠貞之助 、日本映画データベース、2010年2月24日閲覧。〕。本作の日本公開後には、衣笠は本作を携えて、ヨーロッパに渡航し、同連盟は解散した。 当時、日本の活動写真は観衆の強い支持を受けた娯楽中心の「チャンバラ映画」が主流だった。本作はこうした現状に不満を抱いた衣笠貞之助監督が、「時代劇から剣を奪え」のスローガンを掲げて製作したもので、まったくチャンバラのない、貧しい姉弟の愛を描いた実験映画となっている。 この昭和3年、剣戟スタア阪東妻三郎は現代劇『霊の審判』を企画して挫折し、スランプに陥っていた。また時代劇活動写真の元祖牧野省三は『忠魂義烈・実録忠臣蔵』完成を目前に自宅で編集中、失火でフィルムの大半を焼失して窮地に立ち、その牧野のもとを嵐長三郎(嵐寛寿郎)、片岡千恵蔵の二大剣戟スタアが去っていき、長三郎改め寛寿郎は第一次寛プロを興し、その経営に破産して東亜キネマへ、千恵蔵は千恵プロを興し、食うや食わずの独立体制で「文芸時代劇」の地平を開き始めるという、「時代劇映画」そのものが変革の時を迎えていた時期だった。このなかで製作された「実験作」が本作だった〔『週刊サンケイ臨時増刊 大殺陣 チャンバラ映画特集』(サンケイ出版)〕。 本作の上映用プリントは、現在、東京国立近代美術館フィルムセンターが、以下の4ヴァージョンを所蔵している〔所蔵映画フィルム検索システム 、東京国立近代美術館フィルムセンター、2010年2月24日閲覧。〕。 # 87分、16mmフィルム、2343.37フィート、714.25メートル # 87分、35mmフィルム、5857.11フィート、1,785.24メートル # 88分、35mmフィルム、5967.12フィート、1,818.77メートル # 65分、16mmフィルム、1757.09フィート、535.56メートル これらのほかに、1975年(昭和50年)に衣笠自身が劇伴音楽を加えて製作した「47分」の上映尺をもつ「ニュー・サウンド版」が存在する〔スターと監督 長谷川一夫と衣笠貞之助 十字路 サウンド版 、東京国立近代美術館フィルムセンター、2010年2月24日閲覧。〕。マツダ映画社はそのリストに本作の題名が見当たらない〔主な所蔵リスト 劇映画=邦画篇 、マツダ映画社、2010年2月24日閲覧。〕。 日本のビデオグラムメーカーのディスクプランが2009年(平成21年)2月25日に、「74分」の上映尺のDVDをリリースしている〔十字路 、株式会社ディー・エル・イーコミュニケーションズ、2010年2月24日閲覧。〕。 抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)』 ■ウィキペディアで「十字路 (1928年の映画)」の詳細全文を読む スポンサード リンク
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